キャリアアップや働き方の見直しで仕事を探す際、「待遇が良い」「勤務地が近い」「好きなことを仕事にできる」「将来性がある」など、様々な条件から仕事を探すと思います。なかでも「好きなことを仕事にしたい」と考えている人は非常に多いのではないでしょうか。
特にゲーム業界の場合、幼いころからゲームに触れていた経験から、ゲーム開発に携われる仕事をしたいと考える人が少なくありません。さらに最近では「eスポーツ」として世界的に注目を集めていることも手伝って、ゲーム業界自体の社会的イメージも高くなってきています。
「ゲーム業界」の求人情報を調べると、「プログラマー」や「シナリオライター」「デザイナー」「ゲームテスター」の募集がでてきます。しかしこれらは、基本的な技術や実務経験がないと、活躍することは難しい職種です。
そこで今回は、「未経験者でも応募可能求人の多いゲームテスターとして働きつつ、知識やスキルを身に着けたい」とお考えの方に向けて、役に立つ情報をご紹介いたします。さまざまな側面からゲームテスターの仕事内容について解説していますので、仕事探しの参考にしてみてください。
ゲームテスターは「きつい」?
まずはゲームテスターの仕事内容について紹介していきます。
ユーザーがゲームを快適に楽しむための仕事
ゲームテスターは、「ユーザーが快適にゲームを楽しめるよう、バグや不具合がないかどうかを確認する」という、ゲーム開発における品質管理を目的とした仕事です。
発売前のゲームが仕様書通りに作られているのか確認するのはもちろんのこと、開発側が予期していないような操作を行ってもバグや不具合などが生じないかどうか仮説し、検証を行っていきます。
たとえば、アクションゲームでキャラクターがステージを移動するたびに装備品がコロコロ変わってしまうと、作品世界との違和感を覚え、まともにプレイすることができません。取得済の宝箱からアイテムを無限に入手出来てしまえば、ゲーム自体が成立しなくなることもあります。
こうしたバグや不具合が発生しないかどうか、リリース前にゲームテスターが細かく検証を行っていくことで、ユーザーは快適にゲームを楽しめるのです。
ゲームテスターの仕事の「きつさ」
ゲームテスターの仕事内容について紹介しました。次は、業務の「きつさ」について解説します。
ゲームテスターの仕事は、「仕様書通りに作られているのか」「開発者側が想定していない操作をしても問題なく操作できるか」を検証するのが基本です。
たとえば、本来すり抜けられるはずのないステージの壁が特定の条件下ですり抜けられるようになるというバグが潜んでいるかもしれません。そうしたバグが生じないようにゲームテスターは様々な状況を仮説だて、簡単な動作の繰り返しであっても問題ないことを確認していきます。また、期間限定で仕様やレートを変更するイベントがあれば正しく動作するのか、キャンペーン期間後も問題なく動作できるのかも仮説し検証することもあります。
このように、単純作業を繰り返し実施することや長時間の集中力が求められる仕事なので、単純作業が苦にならない人でなければ、働き続けるのは難しい職業だといえるでしょう。
また、期間内に多くの検証作業を効率よく完了させる納期上の問題や、必ずしも自身が好きなジャンルをテストできないなど、ゲームが好きな人ならではの「きつさ」があります。
「きつい」だけじゃない!ゲームテスターのメリット
とはいえ、ゲームテスターの仕事ならではの楽しみやメリットなどももちろんあります。
ここでは、ゲームテスターの楽しみやメリットについて紹介していきます。
ゲームで遊ぶことを仕事にできる!
ゲームテスターのメリットといえば、何よりも「ゲームで遊ぶことを仕事にできる」ことです。チェック内容にもよりますが、発売前のゲームをユーザー目線で楽しむことができます。
攻略サイトに載るような攻略情報を発見することもできるかもしれません。一般ユーザーでは知りえない開発前の情報などを知れるので、ちょっとした優越感に浸れます。(※守秘義務が発生するので、情報の取り扱いは注意が必要です。)
このように、最新ゲームの開発現場ならではのトレンドや最新技術に触れることができるというのも、ゲームテスターの魅力のひとつではないでしょうか。
プロジェクトの流れを学べる
ゲームテスターとしてソフトウェア開発の現場に携わることでプロジェクトの流れを学ぶことができます。どのように企画や仕様書が作られ、開発が進み、テストを実施するのか。また、テスト結果をもとに、開発側がどのように修正を行うのかを学ぶことは、将来的にゲーム業界やIT業界で働いていきたいと考えている人にとって貴重な経験となります。
特にゲームテスターを通してソフトウェアテストの経験を積むことは、テストエンジニアのキャリア構築における最初の一歩となるでしょう。
ゲームテスターの適性
ゲームで遊ぶことを仕事にでき、開発現場を学ぶことができるゲームテスターですが、具体的にはどのような人に適性があるのでしょうか。
これはゲームテスターの仕事を「きつい」と感じるかどうか重要な要素ですのでしっかりと確認し自己分析をしておきましょう。
ゲームテスターに向いている人
これまでゲームテスターの仕事内容を紹介してきた通り、ゲームテスターには次のような人が向いています。
・幅広いジャンルのゲームが好きな人
先にもお伝えした通り、ゲームテスターは必ずしも自分が好きなタイトルやジャンルのゲームをテスト対象にできるとは限りません。そのため、幅広いジャンルのゲームが好きな人がゲームテスターに向いていると言えるでしょう。また、現時点で幅広いジャンルのゲームが好きではなくとも、新しいジャンルに触れることで興味を持ち没頭できる人は向いています。
・集中力の高い人
バグや不具合を発見するために、細かな変化や間違いに気付かなければならないゲームテスターは、集中力の高い人が向いています。また、テストの内容によっては単純作業を繰り返し行わなければならないこともあるので、同じことの繰り返し作業を苦に感じず集中して行える人に適性があります。
ゲームテスターに求められるスキル
ゲームテスターは、ゲームをプレイしてバグや不具合を発見するだけではなく、その発見したバグや不具合を報告することも業務のひとつになります。そのため、報告内容を誰にでもわかりやすく伝えるためのコミュニケーション能力や資料をまとめる能力が求められます。特に資料においては「誰が」「いつ」見るのかわからないものですので、誰が読んでも同じ解釈を得られるよう、的確(再現性なども含めて)でわかりやすく作成する必要があります。
ゲームテスターにはソースコードを書けるなど、特別なスキルがなくとも仕事をすることができますが、資料作成を行う必要があることから、最低限のPC操作スキルが求められます。
そのうえで、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)のようなソフトウェアテストの知識を必要とする資格を保持していると、ゲームテスターの業務はもちろん、テストエンジニアとしてキャリアアップする際にも役立てることができますので、チェックしておくと良いでしょう。
JSTQBについての詳細はこちら
参照: JSTQB認定テスト技術者資格とは?Foundation Levelの難易度は?
まとめ
ゲームテスターの仕事内容を解説するとともに、「きつさ」や楽しさについて紹介しました。
「純粋にゲームが好き」という動機はもちろん、ゲームテスターを通してテストエンジニア職を目指すなど、今後IT業界で働こうと考えている人にとっては、開発の経験を積める魅力的な仕事だといえるでしょう。